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プログラミング学習のスキルアップの仕組みを解説します【長期記憶と超回復】

プログラミング学習のスキルアップの仕組みとは?

プログラミング学習のスキルアップの仕組みはどんなものでしょうか?
これのキーワードは「長期記憶」と「超回復」です。

脳的なスキルの長期記憶化と筋肉的な超回復によってスキルアップは起こります。
この記事ではこれらの仕組みについて具体的に解説していきます。

結論としては効率よくスキルアップがしたい場合は

  • 反復学習で長期記憶化と筋肥大化を起こせ

ということになります。

脳の記憶の仕組み

スキルアップの仕組みについて理解するにあたって脳の仕組みを知っておくのは非常に重要です。
われわれの脳はスキルアップをする時にどのようなプロセスを経ているのか?
このことを理解することはスキルアップの仕組みを理解する近道になります。

脳を完全に理解することは現代科学では不可能です。
しかしいくつか解明されていることはあります。
それらの情報を頼りにして深淵なる脳の仕組みの一端を覗くことは意味のあることと言えます。

脳の記憶は3ステップで行われる

脳の記憶のプロセスは3ステップで行われます。
それは

  1. 記銘
  2. 保持
  3. 想起

の3ステップです。
これらのステップをそれぞれ見ていきましょう。

1. 記銘

まず「記銘(きめい)」とは、脳に情報を送ることを言います。
パソコンで言うならディスクに情報を記録するのが記銘と言えます。

記銘をしないことには脳に情報は増えませんので、記憶の入り口となるプロセスです。
脳がノートなら鉛筆で情報をノートに書くのが記銘に当たります。

2. 保持

つぎに「保持」とは、脳に入ってきた情報を保つことを言います。
つまり脳の中で入ってきた情報を残し続けることです。

情報は揮発的ですぐ蒸発してしまいます。
ですので保持をすることによって情報が揮発しないように脳に長く保つ効果があります。

3. 想起

そして「想起」とは、脳で保持されている情報を思い出すことを言います。
つまりノートに書いてある情報をパラパラとめくって再度読むことがこの想起に当たります。

この想起は非常に重要なプロセスです。
いわゆるスキルアップしている状態とは脳に刻まれている情報がいつでも想起できる状態を言います。
つまり思い出したい時にすぐ思い出せる状態がスキルがある状態と言うことができます。

短期記憶と長期記憶

脳の記憶の種類には大きく分けて3つの種類があります。
それが「感覚記憶」と「短期記憶」と「長期記憶」です。

  • 感覚記憶
  • 短期記憶
  • 長期記憶

感覚記憶と短期記憶は揮発的ですぐに消えてしまう記憶です。
いっぽう長期記憶とは長く残り続ける記憶のことを言います。

感覚記憶は感覚的な記憶

身体の感覚器官(目、耳など)が感知した一瞬の情報を瞬間的に保持するのが感覚記憶です。
この記憶はものすごい揮発的な記憶で瞬時に消えてしまいます。
たとえば熱いヤカンを触ったときに「熱い!」と感じるのが感覚記憶です。

海馬の短期記憶はすぐに消えてしまう

感覚記憶のうち、興味関心があるものがこの短期記憶になります。
短期記憶は感覚記憶より長く記憶されますが、やはり揮発的で短気な記憶になります。

脳に入れられた記憶は最初、脳の「海馬」というところに送られます。
海馬は記憶を一時的に保持しますが、ここの海馬の記憶はすぐに消えてしまう感覚記憶、短期記憶です。

つまりパソコンで言うところのメモリーに当たるのが海馬です。
メモリーのデータは電源を入れなおすと消えてしまう揮発的なデータです。
海馬が保つ記憶もこれと同じでごくごく短期的な記憶になります。

大脳皮質の長期記憶は長い間残る

いっぽう脳に長いこと残る記憶は脳の「大脳皮質」に記録されます。
大脳皮質とは大脳を表面を覆っているシワシワになっているところです。
前頭葉、頭頂葉、側頭葉などが含まれる部分です。

海馬の短期記憶はなんども記憶が繰り返されると大脳皮質に送られます。
そうすると短期記憶から長期記憶にランクアップして記憶が長期間保持されるようになります。

つまりプログラミングのスキルアップに必要な長期記憶は短期記憶の繰り返しによって作られるということになります。

つまりスキルアップには大脳皮質の長期記憶が必要

スキルアップには大脳皮質の長期記憶が必要です。
スキルがある状態というのは色々な技術の情報をいつでも思い出せる状態を指します。

このいつでも思い出せる状態に必要なのが長期記憶です。
短期記憶はすぐに脳から消えてしまいますが、長期記憶は長く残るのですぐの想起が可能になります。

プログラミングのスキルを付けたい場合はこの長期記憶をいかに増やすかが大事になります。

長期記憶の種類

さらに長期記憶も分類があります。
これはおもに↓の2つです。

  • 陳述記憶(思い出など)
  • 手続き記憶(自転車の乗り方など)

この内、プログラミングのスキルアップで重要になるのが手続き記憶です。

陳述記憶(思い出など)

陳述記憶は例えば「思い出」などの記憶です。
思い出はイメージや言語として意識的に内容を想起できます。
たとえば昔行った海の思い出とか、砂浜のイメージとか湧いてきますよね。

こういった記憶が陳述記憶です。
陳述可能な記憶ということですね。

手続き記憶(自転車の乗り方など)

もう1つが手続き記憶です。
これは運動技能や知覚技能、認知技能や習慣などのことを指します。
たとえば自転車の乗り方は忘れる人はほとんどいないと思います。
こういった記憶が手続き記憶です。

スキルアップに必要なのは手続き記憶

プログラミングのスキルアップに必要なのはどちらの長期記憶でしょうか?
陳述記憶? それとも手続き記憶?

これは手続き記憶の方です。
つまり自転車の乗り方を覚えるようにプログラミングのスキルを身に付ける。
これがもっとも効率の良いプログラミング学習の方法と言えます。

自転車の乗り方は一生忘れない記憶ですが、これと同じカテゴリの記憶をプログラミングでもすることです。
そうすれば一生使えるスキルとして脳に記憶として残ることになります。

超回復の仕組み

脳から離れて今度は筋肉について見ていきましょう。
スポーツ科学の世界では「超回復」という理論があります。

身体を鍛えるさいにこの超回復を意識すると効率の良い筋トレが可能になると言われています。
プログラミングと筋トレ? 何が関係あるんだ? と思われるかもしれません。

しかしプログラミングもキーボードをタイプするという点でスポーツ的な要素を持っています。
誤解を恐れずに言えばプログラミングもスポーツの一種ということができると思います。

つまり超回復とプログラミングは関りがあるということです。

筋肥大は3ステップで起こる

スポーツや筋トレで起こる筋肥大は↓の3つのステップで起こると言われています。
つまり

  1. 負荷
  2. 休息
  3. 超回復

の3つです。
身体に負荷をかけて細胞を破壊。
そして休息して細胞を回復。
それによって前の状態よりも筋肉が増える超回復が起こる。

という感じです。

1. 負荷

身体に負荷をかけるのが最初のプロセスです。
これの目的は細胞を破壊することです。

細胞の破壊は回復のために必要です。
破壊と再生とは言いますが、負荷をかけるのは破壊にあたる行為です。

この行為を行うことによってのちの超回復の効果が高まります。

2. 休息

休息は身体を休ませるプロセスです。
負荷をかけて破壊した細胞を休息によって回復させるのが目的です。

負荷をかけ破壊ばかりしていては筋肉は増えません。
しっかりと休憩させて細胞を回復させることが大事です。

負荷をかけたら必ずこの休息のプロセスを取る。
そうすることで後の超回復のプロセスが発生します。

3. 超回復

休息によって細胞が回復し、さらに前の状態よりも細胞が増えるのがこの超回復です。
破壊と再生によって前の状態からパワーアップするのがこれです。

ボディビルダーなどは筋トレによって筋肉に負荷をかけて細胞を破壊します。
そして休息を取り筋肉を回復させて筋肥大を起こします。

これが超回復のステップになります。

記憶と超回復との関連

記憶のステップと超回復のステップの関連はどのようなものになるでしょうか?
じつはこの2つは非常によく似ています。

どの辺が似ているのでしょうか?

どちらも3ステップ

まずどちらも3ステップであることが挙げられます。
記憶は

  • 記銘
  • 保持
  • 想起

ですが超回復は

  • 負荷
  • 休息
  • 超回復

になります。
このプロセスは非常によく似ていてそっくりです。

記銘は負荷に当たる

まず記憶の記銘は超回復で言う負荷に当たる部分です。
脳に情報を刻み付けるという行為は筋トレで言うところのダンベルを繰り返し上げる作業です。

何度も記銘することは何度も腕立てをすることと似ています。
記銘は記憶をすることが目的で、筋トレは細胞を破壊するのが目的なので一見すると両者の目的は違いますが、その性質は似ています。

その性質とはどちらも「反復」をするという点です。

保持は休息に当たる

そして記憶を保持することと休息をすることも似ています。
プログラミングで学習をしたら休息をしますよね。

それは記憶を脳に保持しておく目的も持っています。
あとになっていつでも想起できるように備えておくのがこの休息のプロセスです。
筋トレでは休息は回復のためのプロセスで、これも一見すると目的は違いますがやはりその性質は似ています。

その性質はどちらも「静的」であるという点です。

想起と長期記憶化は超回復に当たる

記憶の想起と長期記憶化は筋トレの超回復に当たる部分です。

記憶を思い出すことは記憶を超記憶化することにつながります。
そして記憶が長期記憶化すればそれはスキルアップになるということです。
筋トレも超回復が起これば筋肥大によって筋肉が増量されます。

これらの性質はどちらも「パワーアップ」しているという点です。

記憶の長期記憶化と筋肉の肥大化によってスキルアップは起こる

ここまでのことで言えることはなんでしょうか?
それはプログラミングのスキルアップにおいて、長期記憶化と超回復がキーになっているということです。

プログラミングのスキルアップとはつまり長期記憶を増やすのが目的です。
長期記憶が増えればそれはその人のスキルとなるわけです。
また脳的な超回復によって筋肥大が起こればプログラミング筋肉もつくようになります。

プログラミング筋肉がつけば前は大変だった課題も今では簡単、ということも起こってきます。
ですのでこの2つを意識して勉強・学習・トレーニングするのが重要と言えます。

反復学習で長期記憶化と超回復を起こせ

結論としては長期記憶化と超回復を起こすには反復学習が有用だということです。
筋トレのように反復して学習を続けることで記憶が長期記憶になり、超回復が起こります。

つまりプログラミングのスキルアップの仕組みとはいかにして反復を継続するかというそのことの仕組みになるわけです。
反復学習を継続してスキルアップを起こしましょう。

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